何故、保険でシリコン印象材を使わないのか?
右図をご覧下さい。歯科で一般的に使われる点数表です。印象(型採りの事)の点数が出てますが、銀歯の型採りでは連合印象60点が該当します。60点って事は600円が医療機関に支払われる金額と言う事になります。
型採りを時給3000円の歯科医師が10分で行ったとします。そうすると、人件費で500円かかります。材料代は残り100円と言う事になります。
下の図を見てください。シリコンだと1回当474円、通常の印象材だと27円かかります。材料代として患者さんから頂けるのは100円ですから、シリコン印象材を使用すると374円の赤字、通常の材料だと73円の黒字だという事になります。年間600回型採りすると、シリコンだと年間268,200円出費が増える計算になります。年間赤字額は224,400円になります。
シリコンで型を採ると保険診療では年間で約22万円程赤字になる。これがシリコンを使わない理由です。
シリコン印象材 | 1回当使用量 | 金額 |
パテ(外側) |
1回当40g使用 |
235円 |
インジェクション(内側) | 1回当4.0ml使用 | 183円 |
ミキシングチップ | 1個 | 24円 |
ミキシングノズル | 1個 | 32円 |
合 計 | 474円 |
アルジネート+寒天印象材 | 1回当使用量 | 金額 |
アルジネート(外側) | 1回7.5g | 12円 |
寒天印象材(内側) | 1.7ml/4 | 15円 |
合 計 | 27円 |
印象材の種類 | 治療費 | 材料費 |
人件費 |
差引 |
シリコン印象材 | 600円 | 474円 | 500円 | △374円 |
通常の印象材 | 600円 | 27円 | 500円 | 73円 |
性能の違い
下表にあるように、シリコンと通常の印象材は5倍位の性能差が有ります。患者さんに少しでも適合性の良い修復物(銀歯等)を入れたいのであれば、シリコンを使うのは当然だと思います。
印象材種類 | 永久ひずみ |
シリコン | 0.3% |
寒天 | 1.5% |
アルジネート | 2.8% |
材料だけでなく、型採りには技術も必要です。
技術って、どのようにして磨かれると思いますか?
例えば自費でしかシリコンを使わないところと、うちのように保険・自費区別無くシリコンを使うところでは、年間の使用回数がかなり違うと思います。
たまに、自費でシリコン使うところは、やはり、技術もそれなりなんではないでしょうか?
技術を向上させるためには、毎日のように行う事が一番効果的だと思います。
当院では、歯肉圧排、止血、界面活性剤の噴霧等々、諸々の技術を使っています。
又、石膏も重要な要素です。これも、超硬石膏という最高級品を使っています。
患者さんには最高の治療を!
これが当院の目標です。
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「当院の行っている事全てが一番正しい・・・。」そこまでは言えないでしょう。色々な考えが有りますからね。